試合終了間際に決勝トライを決めるカーン・ヘスケス(右)=2015年9月19日、英イーストサセックス州ブライトン(ロイター)【拡大】
体格に劣る日本の選手たちは、相手の足元に低くタックルにいき、起きては次の密集へと走り回った。最後まで運動量では南アを上回り、SH田中(パナソニック)は「相手より走り勝てたのが大きかった」と胸を張った。
南アといえば、オーストラリア、ニュージーランド(ともに2回)、イングランド(1回)とともに過去4カ国・地方しか出ていない歴代優勝チームの一角。試合前の評価は、日本が「20回やって1度勝てるかどうか」「20点差以内の負けなら健闘」といった見方が支配的だった。観戦者の魂を揺さぶった、前へ前へと攻め続けた日本の真骨頂は、29-32からの後半ロスタイムに凝縮されていた。
同点狙わずリスク取る
この場面で反則をもらった日本はスクラムを選択。総立ちの観客が騒然となった。PGを選択して成功(3得点)すれば、同点にはなる。しかし、引き分け狙いを潔しとしなかった日本は、あくまでトライ(5得点)を目指し、勝ちにいった。パスが上手くつながらず、一度でもファンブルしようものなら、その瞬間に敗戦が決まるリスクもあった。