吾輩は猫である。名前は「ピンク」。近所の公園でニャーニャー鳴いているところをそば屋の主人に拾われたのだ。
オスなのになぜ「ピンク」かって? それは拾われたときにピンクの首輪をしていたから。それを見てご主人は「てっきり雌だと思った」そうだ。
連れて行かれた病院で、先生から「男の子ですよ」と言われてご主人、驚いてたっけ。
女医さんに抱っこされて満足そうな表情の吾輩をみて「お前は女好きだからピンクなのか?」と、妙に納得したご主人。
町屋(東京都荒川区)のそば屋「やぶ」の看板猫として大人気のピンクは、推定年齢10歳の雄猫だ。ショーケースのカツ丼のサンプルの隣がお気に入り。
「店の休憩時間(午後3~5時)だけしか姿を見せてないんだから、看板猫って言っていいのかどうか…」。野平啓一さん、和子さん夫妻とともに店を営む啓一さんの弟、仁さんは笑う。
さながらピンクのマネジャーのように、数々の取材に対応してきた仁さんは、それまで猫を飼った経験がなく、最初は戸惑うことが多かったという。それでもピンクかわいさに、試行錯誤と猛勉強を重ねたかいあって、今ではピンクにとって欠かせない存在だ。