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5つの三面記事が人生をあぶりだす 「きわこのこと」著者 まさきとしかさん (1/3ページ)

2015.9.27 13:30

静謐(せいひつ)なミステリーで読者を魅了してきたまさきとしかさん。しかし自身は「ミステリーという枠を決めてはいないんです。書きたいのはあくまで人間」=2015年3月27日(塩塚夢撮影)

静謐(せいひつ)なミステリーで読者を魅了してきたまさきとしかさん。しかし自身は「ミステリーという枠を決めてはいないんです。書きたいのはあくまで人間」=2015年3月27日(塩塚夢撮影)【拡大】

  • 「きわこのこと」(まさきとしか著/幻冬舎、1500円+税、提供写真)

 【本の話をしよう】

 わずか数十行の新聞記事。その裏にある人生について、思いをはせたことはあるだろうか。作家、まさきとしかさん(50)の最新ミステリー『きわこのこと』は、ありふれた5つの三面記事から、それぞれに関わった一人の女の人生をあぶり出す。

 「謎」を推進力に

 《衝突事故男性の死因「窒息死」と判明》《「超熟女専門」売春クラブ摘発》《他人のベランダで暮らす男逮捕》《パトカー追跡中電柱に衝突 女性重体》《母親に強い恨みか 殺人容疑で長男逮捕》-。目次に並べられるのは、こんな5つの記事の見出し(新聞記事のタイトル)だ。「ほとんど、実在の事件をモチーフにしています。『どうしてこんなことになるのだろう?』と、三面記事の向こうにある人生が気になるんです。ありふれた記事であればあるほど、想像も及ばない人生があるはず。三面記事の向こう側を、自分で書くことでのぞいてみたかった」

 謎の女と突然同居を始めることになる身よりのない老人、“女”として勝つことにこだわり売春クラブに身を投じる50過ぎのバツイチ女性、夫の連れ子を虐待する女-。コンプレックスや寂しさを抱えたそれぞれの登場人物が、記事で示された結果に至るまでの過程を描く。

一人の女の存在

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