瀬戸内海に浮かぶ契島(ちぎりしま)は見る角度によってその姿を変える。「軍艦島」の愛称で知られる長崎県の世界遺産・端島(はしま)や、フランスの世界遺産「モン・サン・ミッシェル」にも見える=2015年9月5日、広島県豊田郡大崎上島町の神峰山から(川口良介撮影)【拡大】
広島県竹原市の沖合約4キロ、霧雨でかすむ瀬戸内海に、島内に所狭しと製錬所の施設が立ち並ぶ契島(ちぎりしま、広島県大崎上島町)が浮かぶ。そのシルエットはまるで軍艦。軍艦島の愛称で知られる長崎市の世界遺産・端島(はしま)は島全体が廃虚と化しているため、現在も製錬所が稼働している契島は「生きた軍艦島」とも呼ばれる。
契島は1899(明治32)年、深川鉱山製錬所として銅の製錬を開始。1950(昭和25)年に東邦亜鉛が買収し76(昭和51)年に鉛を扱う契島製錬所として稼働、後に銀の精錬も手掛けるようになった。現在、鉛の年間生産量は9万トンで国内1位。その90%が自動車のバッテリーに使われている。
総面積9万平方メートル。24時間稼働で常時約250人が働く。島内には社宅もあるが、平日営業の簡単な売店しかなく、労働者の多くは島外からフェリーで通勤している。島全体が東邦亜鉛の私有地で、上陸できるのは会社関係者だけ。工場夜景や離島ファンには知られた存在だが、フェリーで訪れても島内に立ち入ることはできない。