米国で09年から完全実施された排ガス規制「Tier2」では、窒素酸化物の排出量は同時期の欧州での規制の半分近くに制限された。さらにより厳格化した「Tier3」が17年から順次施行される見通しだ。
任期が残り少ないオバマ氏はレガシー(政治的遺産)を残そうと躍起だ。キューバとの国交再開しかり、大筋合意した環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)もしかり。排ガス大国として肩身の狭かった米国が地球温暖化問題で貢献をアピールできれば、また一つレガシーが加わるのだろう。
だが、いかに米国の規制強化が背景の一つにありそうとはいえ、VWに同情する気はない。むしろ、“世界制覇”への焦りから足をすくわれたのではないか。低燃費と高い環境性能を実現した自らのディーゼル車の技術を地道に磨くべきではなかったか。
今、VWに必要なのは、規制逃れ問題の原因究明を急ぐと同時に、米国を含む世界の市場と真摯(しんし)に向き合い、クルマづくりを見つめ直すことだろう。(外信部 柿内公輔/SANKEI EXPRESS)