カビ人間役の佐藤隆太さん(右)とおさえ役の上西星来(じょうにし・せいら )さん(加藤幸広さん撮影、提供写真)【拡大】
舞台は「劇団☆新感線」のように目まぐるしく変わる。歌あり踊りあり、ユーモアとファンタジーが交錯するなか、人間の本質が問われていく。登場する奇病にはほか、噂好きの青年の背中に天使の羽が生える、のぞきが趣味の男の目が合う焦点が3キロ先になる、王が偉くなれなくなるなど、皮肉めいたものが多い。
「バカバカしいこともたくさん入っていて笑える。でも、それだけではない力を持っている。押しつけがましくなく奥が深い。個性的なキャラクターに何かを感じてもらえる」と佐藤。
カビ人間は醜くなってピュアな心を持ったことで、「自分の悪事に気がついて人が受けた痛みを理解し、人間の醜さも見えてくる」。だから、おさえに冷たい言葉をぶつけられても、人々に煙たがられても笑って立ち続ける。「純粋さに力強さ、ある種の鈍感力がある。全然分かっていないバカではない。いるだけで切なさや悲しさが感じられる存在にしたい」
自分さらけ出す怖さ
初演から20年あまり、再演は10年ぶり。ただ劇中でカビ人間が放火したというデマをめぐる経緯は、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)で瞬時に情報が伝わる現代こそ「後藤さんがかつて示した、嘘が真実とみなされて広まる怖さが、よりリアルに感じられる」と話す。