舞台「父よ!」(田村孝裕演出)。(東京)10月12日公演(谷古宇正彦さん撮影、提供写真)【拡大】
85歳で1人暮らしの父の面倒を誰が見るか、古い実家をどう処分するかで、熟年から初老の4人兄弟が集まり話し合う。どの家庭でも起こりうる問題を描く、休憩なし1時間40分の舞台。見終わった後は、味わい深い短編小説を読んだ後のように爽やかだ。
公務員の長男(花王おさむ)、自営業の次男(ベンガル)、サラリーマンの三男(平田満)、売れない役者の四男(徳井優)が父の留守の間に実家に集まる。久しぶりの再会を懐かしむとぼけたやり取りが、次第に父の世話を押し付け合う本音むき出しの争いに。民生委員(井上加奈子)が訪れて父の意外な素顔を紹介。4人それぞれの複雑な事情も明らかになっていく。
亡き母が「この家の男は見えと保身で生きている」と生前に遺した言葉が突き刺さる。そこから解き放たれた後に残る家族の絆とは何か。親子の愛、兄弟のつながりを思い起こし、「明日はきっといいことがある」と希望を感じさせる。