「このまま森林破壊が進めば、野生のキツネザルは25年以内にいなくなる。地球上でこの島国だけに存在する貴重な動物なのに…」
マダガスカル東部のラノマファナ国立公園でアンタナナリボ大学のジョナ・ラチンバザフィ教授が肩を落とした。保護区でもキツネザルの減少が報告されていた。
かつて国土のほとんどが森林だったマダガスカルだが、現在の森林面積は1割を切っているという。最大の原因は、木を伐採し火をつけて森を燃やし、農地を開拓する「タビ」と呼ばれる焼き畑農業だ。
毎年発生するサイクロンの大雨が土壌の養分を流し、農地は短期間しか使えない。「タビ」は数年おきに場所を変えるため、森林破壊のスピードはすさまじい。
炭に依存する人が全人口の7割というマダガスカルでは、炭作りのために保護区の森林にまで手を出す人たちもいる。紫檀など高級木材を違法伐採して輸出する動きもあり、森林の危機に拍車をかけている。「魚が水の中でしか生きられないように、キツネザルは森林がなければ生きていけない」とジョナ教授は嘆く。