南アフリカ南部のジンバブエで7月、人気者の雄ライオン「セシル」が、米歯科医師に“密猟”された問題が大きく動いた。ジンバブエ政府が、セシルを撃ち殺したウォルター・パーマー氏(55)を訴追しない方針を固めたのだ。調査の結果、法的問題がなかったためだが、“無罪”裁定に収まらないのが動物愛護団体。パーマー氏への抗議活動は今も続き、米国で訴追すべきだ、という声も日増しに大きくなり、セシル騒動は、まだまだ尾を引きそうだ。
ハンターとして入国認めず
ロイター通信やフランス通信(AFP)、米公共ラジオ(NPR)などによると、ジンバブエのオッパ・ムチングリ環境相(56)は、セシルが撃ち殺された直後から、米国にパーマー氏の身柄引き渡しを求めるなど、強硬な姿勢をみせていた。
しかし、先ごろ記者団に「警察や検察当局と調査した結果、パーマー氏は必要書類を全て準備して入国したことが判明した」と説明。狩猟に必要な書類もそろっており、違法な点がなかったため、訴追は見送り、いかなる法的措置も取らない考えを示した。そのうえで、観光客としての入国は今後も歓迎するが、「ハンターとしての入国は認めない」と述べた。