ちなみに本は皆さんに選んでもらうが、本屋のテーマ設定は僕がする。例えば、角野栄子には「おいしい本屋」というテーマで本選びを依頼。『魔女の宅急便』もいいけれど、彼女の書いた「おばけのアッチ」シリーズこそ僕が初めて手に取った食の本だからだ。石川直樹の選ぶ「陶酔本屋」や、荻原規子の選ぶ「境界をめぐる本屋」、森永邦彦の「反逆の本屋」などなど、独特のおもしろ書店の中身、気になることでしょう?
選者との結びつき
そして、すべて選者に「なぜその本を選んだのか?」を聞くため、濃密対談をさせてもらった時間も忘れられない。僕は、ただ本の表紙が並ぶカタログをつくりたかったわけではなく、それらの本が選者の日々とどのように結びついているのかを知りたかった。角野が感銘を受けた『長くつ下のピッピ』でピッピがジンジャーブレッドを作るシーンの豪快さや、彼女がいつも杉浦日向子の『もっとソバ屋で憩う』をバッグに入れ、時間があれば載っている蕎麦屋に立ち寄る理由など、話を聞いてみて納得できる選書も多かった。