兵庫県神戸市長田区にある「鉄人28号」のモニュメント。戦闘ロボットはもはや、アニメ・映画の世界を跳び出し、実戦配備も現実味を帯び始めている=2012年12月23日(桑村朋撮影)【拡大】
伸びる会社は違う。トヨタ自動車が6日に発表した計画には感心した。人工知能(AI)技術研究に向けた新会社を来年、米国シリコンバレーに設立し、自動運転技術や介護ロボットの商品化を目指す、という趣旨にではない。
新会社の最高経営責任者(CEO)に米国防総省・国防高等研究計画局(DARPA)のプログラム・マネジャーとして軍事ロボット・プロジェクトを率いてきた人物が就任する人事-にだ。DARPAこそ、《機動戦士ガンダム》や《マジンガーZ》、小欄の世代では《鉄腕アトム》や《鉄人28号》を完成させる最も近距離に在る優れた研究機関の筆頭格なのだ。インターネットの原型やGPS(全地球測位システム)の開発元と言い換えれば、力量の程が理解できよう。
もちろん、わが国も未来兵器開発を目指し、発想の転換が迫られているが、防衛省や防衛産業の技術者に、最先端兵器の分かりやすい説明を求めると、アニメや映画のキャラクターに加え、SF小説に登場する装備でレクチャーを受ける事例が多くなった。戦闘ロボットに象徴される自律型致死性兵器(LAWS)はもはや、アニメ・映画や小説を跳び出し、実動の場を求め始めた。とりわけ、各国が目指す究極のLAWSは鉄腕アトムに違いあるまい。なぜか…。