民間設備投資増額の3倍
だが、実のところ、景気の地合いはかなり弱く、成長力に乏しい。グラフは、今年度の4~6月期、7~9月期の名目GDPの主要項目の前年同期比増減額を、外国人旅行者の支出額増減と比較したものだ。やや専門的だが、外国人旅行者による支出はGDP統計でいう「個人消費」に含まれず、輸出にカウントされる。GDP統計上に外国人支出の分類項目がないので、観光庁が発表しているデータを引用した。一目瞭然、外国人旅行者の消費支出増加額は他の内需項目をすべて上回っている。GDPの6割を占める個人消費をはるかにしのぐし、7~9月期は民間設備投資増加額の3倍だ。外国人旅行者が日本経済の成長を下支えしている。
観光庁調査で、7~9月期の外国人支出を国籍・地域別にみると、中国が4660億円で全体の47%を占める。続いて台湾が1389億円で14%、香港が800億円の8%、韓国も799億円の8%という具合で、中国人が日本で落とすカネの額は他を圧倒している。中国人による「爆買い」さまさま、といったところである。