600兆円達成は内需拡大で
ここで再確認すべきは、やはり600兆円達成は内需の拡大なくしてありえない点だ。4~6月期、7~9月期の名目GDPはいずれも年換算で約500兆円(14年度49008兆円)にとどまっている。14年度を基点に20年度600兆円にするためには、年平均3・4%の名目成長率が必要だ。15年度507兆円が目安となるが、今のペースでは7兆円余りのハンディを負う。スタートで躓くと、16年度以降の成長率のハードルは高くなり、600兆円は遠のく。
国内にはGDP600兆円を冷ややかに見るメディアや評論家が多いが、年率3.4%程度の平均成長率は1990~2012年の先進国平均値3.7%(日本0.3%)である。達成できないのは、日本の財政金融政策の失敗による。「爆買い」という円安のあだ花に惑わされず、まともな経済政策思想に日本の各界は目覚めるべきなのだ。(産経新聞特別記者・編集委員 田村秀男/SANKEI EXPRESS)