安倍晋三首相が掲げる「名目国内総生産(GDP)600兆円」は日本再生のための必達目標のはずだが、議論は迷走している。2017年4月に一部食料品に軽減税率を導入しようと、消費税増税は内需を抑えることに変わりはない。他方で、官邸は法人税実効税率引き下げに執念を燃やしているが、肝心の国内向け設備投資や賃上げにつなげるプログラムは不在である。
あいまいな「1億総活躍」
1997年度の消費税増税は慢性デフレを引き起こし、2014年度増税はアベノミクス効果を台無しにした。増税ショックで14年度のGDP実質成長率はマイナス0.9%に落ち込んだばかりか、15年度も4~6月期マイナス0.3%、さらに7~9月期も0%前後の水準に停滞する見通しが強い。
米財務省は、10月19日付の外国為替に関する議会報告書の中で、消費税増税による日本の景気減速を取り上げ、財政緊縮にこだわるとデフレに舞い戻るのではないかと警告した。半年前の議会報告書に続き、2度目だから、よほど気掛かりなのだろう。