今年9月、自民党総裁選の出馬断念を記者会見で発表した野田聖子前総務会長。最近の南沙諸島をめぐる発言は、首相の座をさらに難しくした=2015年9月8日、東京都千代田区(早坂洋祐撮影)【拡大】
「たとえ経済関係を深めても、中国は埋め立てを止めない」との指摘には、「(南沙は)直接日本に関係ない」と断言。「南沙で何かあっても、それは日本に対してのメッセージでない。日本は独自路線で、中国や韓国と日本らしい外交に徹するべきだ」と述べた。
言うまでもないが、日本は原油輸入の8割を中東に依存しており、うち9割が南シナ海を経由して運ばれている。経済産業省幹部は「南沙で有事があり、日本のタンカーが周辺を航行できなくなった場合、フィリピンの東側を大きく遠回りできたとしても、輸送日数の長期化に伴う原油高は避けられない」と指摘する。南シナ海沿岸には東南アジア有数のコンテナ船のハブ港も多く、有事となれば工業製品を輸入する日本のビジネスモデルにも影響が出かねないのだ。
そもそも野田氏の発言には、軍事力と外交や経済がどういう相関関係をなしているのか、決定的な認識不足があると言わざるを得ない。
2015年版の防衛白書によれば、中国の国防費は5年連続で10%以上増えた。公表された国防費だけでも、1988年度から27年間で約41倍。中国が南沙で横暴な態度を取るのは、軍事力の整備に比例しているのは明らかだ。これは中国公船による尖閣諸島(沖縄県石垣市)での領海侵犯や、東シナ海の日中中間線付近でガス田開発を進める姿勢に通底する。