今年9月、自民党総裁選の出馬断念を記者会見で発表した野田聖子前総務会長。最近の南沙諸島をめぐる発言は、首相の座をさらに難しくした=2015年9月8日、東京都千代田区(早坂洋祐撮影)【拡大】
鳩山氏らほうふつ
野田氏は番組で「貿易や人的交流、科学技術の供与など、まず日本の得意分野で中国との溝を埋めるべきだ」とも指摘。発言の背景には「安倍晋三首相が日中関係の改善に後ろ向きだったことへの不満」(野田氏周辺)もあるのだろう。
日本の国益を損ないかねない振る舞いに目をつむり、優しく接するだけでは国民の安全は守れない。これは外交の基本中の基本だ。そもそも野田氏は、日米安全保障条約の役割をどう理解しているのだろうか。党総裁選で、一度は野田氏の推薦人になることを了承したある議員は、今回の発言に「鳩山由紀夫元首相や韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領と雰囲気が重なり、頭がクラクラした」と肩を落とした。
野田氏は意見の多様性を否定しがちな党内を批判したり、若手女性議員らを手厚く世話する人物だ。党内では「姉御」と信望もある。安倍首相も野田氏を見込み、党三役に抜擢(ばってき)したのはわずか3年前のことだ。私も酒席をともにした経験があるが、物事の欠点をズバリと語る野田氏には、不思議な魅力を感じた。
野田氏がいうように、組織に多様性は必要だ。ただ国民の安全に責任を持つ首相を目指すなら、多様性にも限度がある。姉御よ。鳩山氏のように、道理が通じない「宇宙」には行かないでください。(水内茂幸/SANKEI EXPRESS)