11月20日、米サウスカロライナ州で熱弁を振るうドナルド・トランプ氏。共和党の大統領候補指名争いでトップを走るが、「データベース発言」で潮目が変わるのか注目される=2015年(ロイター)【拡大】
パリ同時多発テロを受け、イスラム教徒を排斥しようとする動きが米国に飛び火、保守層を中心に拡散する兆しを見せ、来年11月の大統領選の帰趨(きすう)に影響を及ぼしそうな情勢だ。そんな中、野党共和党の候補指名争いでトップを走る不動産王のドナルド・トランプ氏(69)が「米国在住のイスラム教徒の動向をしっかり監視するためにデータベースを超えるシステムを導入する必要がある」などと発言。激しい批判にさらされ、言葉を濁して“前言撤回”を余儀なくされた。数々の問題発言を繰り返しながらも、これまでは主張を取り下げなかったトランプ氏だが、他陣営は初の翻意を潮目が変わる好機ととらえ、トランプ潰しに躍起だ。
「ナチスと同じ手法」
トランプ氏の今回の発言は、19日に行われたNBCテレビとのインタビューで飛び出した。パリ同時多発テロについて、ひとしきりのやり取りがあった後、トランプ氏は「テロリストの脅威から米国を守るため、イスラム教徒の全国民の諸情報を国(連邦政府)に登録させるべきだ。データベースを超える多くのシステムがあるはずだ」などと語った。
これに対してイスラム教徒の団体などが「かつてナチスがユダヤ人を差別し迫害した方法と同じだ」「21世紀にこの国で大統領を目指そうとする人物の発言とはとても思えない」と猛反発。米主要メディアもこれに同調した。