【京都うまいものめぐり】
しんしんと底冷えする京の冬。そんな冬の京都で訪れたくなるのが1465年創業の「本家尾張屋」だ。始まりは菓子屋ではあるが、江戸時代中期に、そば屋も始めたという。現在京都市内に3店舗構えるが、なかでも烏丸御池駅からすぐ近くにある本店は、明治初期に建てられた雰囲気のある町家で京らしさに浸りながら食事をすることができる。
「寶(たから)」と染め抜かれたのれんをくぐれば、堂々とした風格を感じさせるたたずまい。玄関のすぐそばにある小部屋は季節によって掛け軸が変わり、建造当時からほとんど手を入れていないという茶室もある。障子を開けると坪庭が見え、寒椿の赤色に凛とした趣を見せる。
「うちのそばは何と言っても京の地下水の恵みがもたらす味です。関東の硬水と違って、軟水の水は、まろやかなだしの味わいを引き出し、そばののどごしを引き立てるんです」と本店を任されている専務の岡本万寿男さん。地下水が豊富な本店の地下に作られた作業場で、すべての店のそばを毎朝打ち、だしを作っているという。