奈良の特産だった蚊帳生地を重ねて作った「花ふきん」は淡く優しい色味が持ち味。吸湿速乾性に優れ、使い込むほどにふんわり優しい風合いが。繊維が残りにくいこともあり、ガラス磨きにも適しているという。
正倉院の宝物からモチーフ
また、本店のみのサービスである麻布の量り売りも見逃せない。無地のものは絵の具のような鮮やかな発色が目を楽しませ、花喰鳥(はなくいどり)や麻の葉をモチーフにした柄ものは涼やかな雰囲気。店内で売っている雑貨とおそろいの小物を作りたい、という人にも人気という。
「花喰鳥は正倉院収蔵の宝物の図柄で、麻の葉は成長が早いことから、すくすくと育つようにと赤ちゃんの産着の柄として尊ばれていました。古くから伝わる柄や素材を説明して見識を広め興味を持ってもらうことが日本の工芸を守るきっかけになるはず」と長野さんはいう。
お店を訪れる人の多くは観光客だが、商品の背景にある歴史や物語を求める意識の高い50~60代の女性がほとんどというのもうなずける。