「たまには朝食にパンを食べたいと思ったこともありましたが、そんなときでも母は『おみそ汁は体にいいんだから飲んでから出かけなさい』と強く勧めたんです。この映画に出演して、母の言葉の意味が改めて分かりました。みそ汁には脳の働きを活性化させたり、体温を上げたり…といった役割があるんですよね」。実はちゃんと理にかなってもいた母親の言いつけに、今さらながら感心しきりといった様子だ。
そして、今では母の立場となった広末も自分の子供たちによくみそ汁を飲ませるそうだ。「特に寒い時期になると、朝のみそ汁が一番心が安らぐんです。新たな一日を始めるのにいいスタートが切れるとも思うんですよね」
小さな幸せに気づいて
撮影現場で阿久根監督から飛んだ注文は「悲しそうな表情で演技しないでほしい」というものだった。「『今ちょっと悲しそうな表情でしたよ』なんて言われましたね。私としては『今、悲しいなんてまったく思わずに演技していたのになあ…』と思っても、どうしても演技にポロッと出てしまう切ない感情もあるのでしょう。監督は感情を抑制するように気を遣っていました。『悲しくならない、悲しくならない、明るく、明るく、楽しく、明るく』とアドバイスをくださりました」