アールデコ様式は、装飾性にあふれていた「アールヌーボー様式」(19世紀末~20世紀初め)とは対照的に「装飾のための装飾」を廃した。直線や幾何学的な要素を取り入れ、機能性も重んじるようになる。
アールデコ様式は旧朝香宮邸(33年竣工、現東京都庭園美術館)を彩り、バウハウスには日本人も留学したこともあり、ほぼリアルタイムで日本にも伝わった。日本画の新旗手だった吉岡堅二(1906~90年)の「椅子による女」(31年)には、バウハウスでデザインされたようなパイプの椅子が登場し、吉岡自身がデザインしたといわれる女性(新婚の妻)の洋服は、シンプルな線と形、色使いでアールデコ風だ。
会場には、バウハウスの教官を務めたマルセル・ブロイヤー(1902~81年)の鉄パイプの椅子「クラブ・チェア」(27年)も展示されている。
力強くシャープな美しさ
バウハウスやアールデコ様式の影響で、日本でも工芸の前衛運動の「无型(むけい)」(27年)や工人社(27年)が結成された。工人社に所属した佐藤潤四郎(1907~88年)の「鍛鉄硝子吹込花瓶」(40年)は、鉄の枠の中に硝子を吹き込んだだけの作品だが、はち切れんばかりの硝子の球と、鍛えられた鉄枠の緊張関係が、力強さとシャープな美しさを生み出している。