【アートクルーズ】
それぞれのレベル
だから、みんなでつくる音楽では、「完成」を目指さない。「もともとの歌が先にあって、それを目指す」音楽教育に疑問を投げかけた自著「学校で教えてくれない音楽」(岩波新書)で述べるように、「お客さんも演奏家も、自分の力で音楽を発見したり、ときには音楽をとめて話し込んで仲良くなったり。その場がつくれればいい」。
だれでもそれぞれが持つレベルで参加し、楽しむために「音楽のハードルは極限まで下げる。でも、質は下げない」という。トリエンナーレのイベントでも基本、そうした考え方が柱になる。
大震災が転機に
大学のジャズ研に所属していた1981年、プロのギタリストを目指し、フリージャズや即興音楽で名をはせていた高柳昌行氏の教室に入門した。修業と高柳氏の付き人を続けていたが、「ライブや他人と(の共演)はやるな」と活動を厳しく制限する高柳氏とぶつかって、教室を飛び出した。