「インテリでクレバーなのに照れて隠す」「人間味があって狂気や暴力性も秘めている」と互いを評する赤堀雅秋さん(右)と光石研(みついし ・けん)さん=2016年1月22日、東京都世田谷区(宮川浩和撮影)【拡大】
福岡県北九州市の、八幡製鉄所に近い歓楽街で育ったという光石は、少年時代の思い出を作品に重ねる。「日が当たらない、どぶに落ちそうな人たちの話で親近感がある」。昭雄役には「家業を継ぎたくなくて家を出たけれど戻り、薦められて結婚して今に至る、どこにでもいそうな人」。赤堀が演じる稲葉も同様だ。「レジの金をごまかす。でも朝早く市場に行ってくれるので辞めさせられない。僕のそばにも似たような人はいた」と赤堀。
女性ファンが多数を占める演劇界で珍しく、赤堀の作品は男性ファンが多い。感情を表に出さない寡黙な男性を丁寧に描く点が魅力の一つ。今回、物語の軸となっている昭雄と田所は、妻を奪われた被害者とはねた加害者の関係で妻の死後、惰性で続いているかに見える。「『ありがとう』『ごめんね』といった一言がなかなか言えないから、ずるずる続く。でもそれが現実」