この魔法は陽気なリズムが体の奥のものを吐き出させる南米独特のものであって、かつマルケス独特の物語編集の方法だった。ぼくはマルケスを読むたび、「人々は別様の可能性にこそ夢中になるものだ」という秘訣を教えてもらっている。
【KEY BOOK】「百年の孤独」(ガルシア・マルケス著、鼓直訳/新潮社、3024円)
マコンドという村の誕生から消滅までの百年を語って、ややこしい名前の登場人物が次から次へと出ては消えていくのだが、そんなことはどうでもよく、さまざまな突飛な(しかしありそうな)出来事が多彩なタペストリーのように編まれていくのを、ただただ読んでいくだけで感動してしまう。魔術のような作品だ。つまり南米特有の「語りの文学」でありつつ、そこに物語の発端と終焉を奇形の子が担うという巨大な幻想の秘密を差し挟んだ傑作。