ピクサー・アニメーションが手がけた新作「アーロと少年」の舞台がまた興味深い。地球が隕石(いんせき)の衝突を奇跡的に回避し、絶滅を逃れた恐竜たちが進化、言葉を話し、農耕生活を送る「もしもの世界」。主人公は恐竜、言葉を持たないのは人間側と、これまでの恐竜映画とはまるで毛色が違うのだ。初めて長編に挑んだピーター・ソーン監督(38)は「企画のスタートは2009年と随分前のことですが、テーマは『恐怖心にどう打ち勝つか』と一貫していました。アーロはまだ幼い。だから物語作りでは、主人公が成長して大人になっていく-を軸にアイデアを見つけようと努力しました」と振り返った。
臆病な恐竜、アーロ(声・石川樹)は今日もパパに甘えてばかり。アーロを鍛えようと、パパは山道を抜け川辺へと連れ出すが、ひどい嵐に遭遇、増水した川の激流にのみ込まれ命を落としてしまう。同様に川に流されたアーロは一命を取り留め、見知らぬ土地で目を覚ます。右も左も分からないアーロをいろいろと助けてくれたのが人間の少年、スポットだ。少しずつ友情を育んでいった“2人”は、やがてアーロの家族が待つ家を目指して冒険の旅に出る-。