東洋人としては初の快挙となる名門ノルウェー国立バレエ団のプリンシパルへの抜擢(ばってき)は、弱冠25歳のときのこと。難役とされる「白鳥の湖」に臨み、全幕でオデット(白鳥)とオディール(黒鳥)を見事に演じ分けたことで評論家たちから高い評価を受け、西野麻衣子(35)は、瞬く間にノルウェーで最も有名な日本人となった。
30代を迎えた西野は、オペラハウスの芸術監督でノルウェー人の夫、ニコライとの間に長男を授かった。栄誉あるその座を虎視眈々(たんたん)と狙い黙々と練習を重ねる若手バレリーナたちの台頭も著しい中、プリンシパルにとって妊娠は「思いがけない出来事」ではあった。しかし、西野はこの地位を死守しつつ、子育てもしっかりこなしていこうと決意を固めた-。
出産、育児休暇を経て、プリンシパルへカムバックした西野が再び「白鳥の湖」を演じ終えるまでの苦闘を丹念に追ったノルウェーのドキュメンタリー映画「Maiko ふたたびの白鳥」(原題『Maiko:Dancing Child』、オセ・スペンハイム・ドリブネス監督)はこうして誕生し、この度日本でもお目見えすることになった。