山陽自動車道下り線八本松トンネル内での多重事故で、炎上し焼け焦げた車両=2016年3月17日午前9時半ごろ、広島県東広島市(広島県警提供)【拡大】
出口まで数百メートル歩く
「普通に息を吸うと危ない」。炎から逃れるように脱出を始めた別の男性は、とっさに手で口を覆った。煙が充満し、すすが舞っていた。
広島市の男性会社員(50)も避難を始めていた。最初に上がっていた白煙は、いつの間にか黒煙に変わり、視界を奪う。「白線を頼りにしろ!」。どこかから声が聞こえた。足元の車線に目をこらし、トンネルの壁の手触りを手がかりに出口を目指した。
別の男性ドライバー(40)によると、当時の現場は「他の車のヘッドライトも見えない状態」。照明や非常灯にも気付かなかった。
地元消防の記録では、ほとんどの人が避難を終えた午前8時20分時点でも真っ黒な煙がトンネル出口から噴き出していた。現場から出口までは数百メートル。避難にかかったのは数分程度とみられるが、暗闇を歩く時間はそれ以上に感じたという。東広島市の女性会社員(51)は「事故の瞬間よりも、暗い煙の中にいる時間のほうが、はるかに怖かった」。(SANKEI EXPRESS)