水を抜いた猿沢池で見つかった大量のカメ(左)とごみのラジカセ=2月19日、奈良市【拡大】
今回の調査ではほかにスッポンが3匹と、中国原産のハナガメ、イシガメとクサガメの交配種、北米原産の肉食魚「スポッテッドガー」も各1匹発見された。前回も含めて見つかったカメの原産地は北米や中国、東南アジア、中近東など世界中に及び、地元の生物を調査している奈良教育大付属小の井上龍一教諭は、「(まるで)カメの国際見本市だ」と皮肉まじりに形容した。
国内で急速に普及
ミドリガメは米ミシシッピ川が原産で、もともと日本にはいない。在来種のクサガメ、イシガメに比べ、卵を産む数が多く、繁殖力が強い。ストレスにも強く、甲羅干しのできる陸地を在来種を押しのけて独占する。体も浮きやすい構造で、陸地がなくても甲羅干しができる。
1970年代頃から日本に輸入され、たちまち普及したが、成長が早くて飼いきれなくなり、捨てる飼い主が後を絶たない。猿沢池だけでなく、全国の川や池で生態系の破壊が問題となっている。
国内で広範囲に普及しているため、輸入や飼育、遺棄を禁止する外来生物法の「特定外来種」に指定すると混乱が生じる恐れもあるとして、環境省は段階的な規制を検討しているが、根本的な解決は難しいのが実状だ。