被災地支援を目的とした寄付金額の減少は明らかだ。ふるさと納税以外のルートからの寄付金も減っている。たとえば石巻市の場合、震災直後の2011年度には8億2034万円が寄付されたが、2013年度には10分の1の8289万円に激減した。
そこで荻原さんは当時まだ認知度が低かったふるさと納税の仕組みを積極的にPRし始める。同時に自身も、複数の自治体に寄付を続けた。すべての自治体から特産品がもらえるわけではないけれど、「復興の応援が目的なので気にしていません」
2000円を引いた寄付金額が全額控除される金額に
ただ、その一方で特産品をもらうことを目的としたふるさと納税も“あり”だと考えている。「地方には財政が逼迫している自治体がたくさんあります。財政的に豊かな都市部の人がふるさと納税をすることで地域間格差の解消に役立つのだから、積極的に利用したほうがいい。それで寄付を受けた自治体は多少なりとも財政に余裕が生まれ、寄付金を使って特産品を買い上げれば地域産業の振興にも役立つ。寄付をした人は特産品がもらえて税金も軽減されるのだから、誰にとってもウィンウィンの関係がつくれます」
その代わり、都市部の税金は減る。最も寄付人口が多い東京都民の2012年の寄付金額は約34億円なので、ほぼ同額の都や区市村に入る住民税が減ったことになるが「東京都は豊かですから、この程度であれば住民サービスに影響が出ることはないでしょう。もし影響が出るようなら、税金の無駄遣いをなくせばいいのです」と荻原さん。