その走りの大人っぽさは実は高速道路での巡行や街乗りで存分に発揮される。ノーマル、またはエコモードで走れば、低速からしっかりトルクのあるエンジンと、こまめにシフトアップする多段8速ATのおかげで、低回転を維持したまま流すことができるから、車内は意外なほど静か。加えて、長いホイールベースが、運転疲れを軽減する直進安定性と良好な乗り心地にも一役買っている。
ミニクーパーと言えば、ボーイズレーサーの象徴のようなブランドだが、ことクラブマンにあっては、その素性を持ちつつ、大人っぽく、しっとりと走ることも得意な二面性を持ったモデルという印象を強く持った。
スポーツ性を削ぐ標準タイヤ
残念に感じたのは、標準装備のタイヤ。ピレリのチンチュラートP7というコンフォート系タイヤで、私自身も自分のクルマで使用経験があるのだが、静粛性、快適性が非常に高い反面、スポーツ走行での限界は高くない。今回も峠道のカーブで、何度となくタイヤが鳴く場面があり、想定よりもやや低めのペースで走らざるを得なかった。私程度の素人ドライバーでもこうなのだから、スポーツ走行にこだわりのあるユーザーでは不満が出るだろう。