為替や財政出動議論は不調 踏み込み不足拭えず
G7財務相会議閉幕21日閉幕したG7財務相・中央銀行総裁会議は、世界経済の下支えに向け、財政政策などを総動員することで一致し、課税逃れやテロ資金への対策でも協調を打ち出した。ただ、26日からの伊勢志摩サミットを控え、財政出動での結束や、日米の為替認識の擦り合わせなどの議論は不調で、踏み込み不足感が残った。
麻生太郎財務相は閉幕後に開かれた記者会見で「G7の財務相らと胸襟を開いて議論し、揺るぎない連帯、協調の精神を改めて確認できた」と成果をアピールした。
「パナマ文書」などの課税逃れ問題では、G7として厳然と対応する姿勢を表明。テロ資金封じ込めの行動計画も示すなど一定の成果を上げたといえる。
ただ、世界経済てこ入れに向けた「政策の総動員」は、4月のワシントンでの20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議合意を踏襲したに過ぎない。日本は景気刺激に効果的な財政政策での協調を模索してきたが、各国の経済情勢にばらつきがあることなどから、ドイツなどは消極的な姿勢に終始。低成長を打開する決め手を打ち出せなかった。
一時1ドル=105円台まで進行し、日本にとって焦点となっていた為替についても、日米財務相会談ではお互いが従来のやり取りを繰り返し、平行線をたどった。
もっとも、世界経済は落ち着きを取り戻しつつあるとはいえ、会議で話題にのぼった英国の欧州連合(EU)離脱や中国の供給過剰問題、乱高下する原油相場などのリスクを抱える。
国際通貨基金(IMF)は4月、2016年の世界の成長率見通しを3・2%と従来見通しから0・2ポイント引き下げた。世界的な需要不足が根強い。日本も熊本地震や消費の低迷で4~6月期はマイナス成長に転落する可能性がくすぶる。
景気減速で中国など新興国の存在感が低下する中、G7には世界経済の牽(けん)引(いん)役としての期待が高まっている。伊勢志摩サミットでは安倍晋三首相があらためて成長に向けて、明確なメッセージを打ち出せるかどうかが重要になる。(中村智隆)
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