世界経済下ぶれ懸念 日本、経済対策で下支え カギ握る構造改革
政府は来月初めにも20兆円規模の経済対策を決定し、景気を下支えする方針だ。24日に中国・成都で閉幕したG20財務相・中央銀行総裁会議で各国は、世界経済の下振れリスクに対し、政策を総動員して影響を阻止する必要性を共有した。英国のEU離脱問題や、中国経済の減速などの火種はくすぶったままだ。今後は財政出動と並行して、いかに構造改革を進めるかが世界経済を支えるカギとなる。
G20は声明で「(英国のEU離脱の影響に)積極的に対処する態勢を整えている」として、市場の不安を解消する姿勢を打ち出した。ただ離脱交渉が長期化すれば英国や欧州に加え、貿易相手の中国の経済を下押しし、世界に悪影響を及ぼす。
欧州には別の懸念もある。イタリアでは銀行の不良債権問題が表面化したが、29日に公表されるEU域内銀行への健全性検査(ストレステスト)の結果次第では、欧州発の金融危機が起きる恐れもある。
さらに、世界の成長を牽(けん)引(いん)してきた中国経済は減速が目立つ。不良債権や鉄鋼の過剰生産などの構造改革は容易ではない。国際通貨基金(IMF)が今月発表した世界経済の成長率見通しは2016年が3・1%、17年が3・4%で、4月時点の予想からともに0・1ポイント引き下げた。
だが、リーマン・ショック後のように各国が金融緩和で世界経済を支える余地は乏しい。このためG20は声明で「構造改革の重要な役割を強調しつつ、財政政策が同様に重要」とした。財務省幹部は「われわれのやろうとする方向性と軌を一にしている」と話す。
政府の経済対策はリニア中央新幹線の延伸前倒しのほか、農産物輸出のための施設などの公共事業を盛り込む見通しだ。当面の経済の下支えに財政出動は一定の役割を果たすが、成長の持続には0%台にとどまる潜在成長率を高める構造改革が欠かせない。
政府は「同一労働同一賃金」をはじめとする労働市場改革などを進める方針を示す。海外経済の減速や円高に耐える日本経済の体質強化が求められる。(万福博之)
関連記事