実際、木材原料の調達先など外部業者が自然林を伐採し、また近隣の貧困層が現金収入を目当てにこれに加担。こうしたインドネシア社会が抱える複雑な事情も絡み、論争は長期におよんだ。
もっとも、APPはインドネシアで250万ヘクタールにおよぶ管理地を抱え、このうち150万ヘクタールで植林をしている。これは製紙メーカーでは世界最大規模の植林地で、現在、1日当たり100万本のペースで苗木を植えている。「6本の木を植え、1本を原料として切る」(APPのテグー・ガンダ・ウィジャヤ最高経営責任者)という計算だ。
つまり、原料供給業者の監視体制を強化するなど管理システムを再構築すれば、自然林の伐採を封じ込め、原料調達から生産までを自己完結する資源循環型の生産サイクルを確立できることになる。
にもかかわらず、対応の遅れから環境団体からの批判が続き、大口顧客との契約が打ち切りとなるなど、環境問題はAPPの経営をも揺るがす事態に発展した。