こうした経緯を踏まえてAPPは昨年5月、国際基準である「保護価値の高い森林(HCVF)」の採用を決定。インドネシアの国内法が定める枠を超え、絶滅危惧種などが集中する地域にまで保護対象を拡大させることで、環境保護団体からの批判をかわし、同時に環境戦略を強化するという判断をした。
自然林の伐採停止は2014年末までの“猶予期間”を置くとしたのが当初計画だが、APPは今年2月、原料供給業者も含め、インドネシアにおける自然林の伐採の即時中止を決めた。
計画の約2年前倒しに踏み切った理由について、同社の持続可能性担当役員、アイダ・グリーンベリー氏は「持続可能な産業システムの構築は世界企業の責務。それにはまず行動を起こすことが大切で、私たちは新しいベンチマークを世界に示すためにも、新たな第一歩を踏み出したい」と説明した。
地域経済にも配慮
APPが掲げる目標には、環境保護に加え、地域経済の底上げといった地元社会との連携強化がある。