米テキサス州フォートワース市内にあるシェールガスの井戸。幹線道路沿いに、こうした井戸が多数ある【拡大】
「生産を楽観しすぎ」
欧州などでは地下資源は国に属するが、米国ではその土地の所有者が権利を有する。テキサスでは、地下に広がる資源を「誰かにとられる前に、自分が吸い上げてしまおう」という動機が、1930年代は石油、2000年代後半にはシェールラッシュにつながった。ロジャースさんが苦情を言っても、開発業者は「許可を得ている」の一点張りで、取り合ってもらえない。
ただ、ロジャースさんがシェール開発に異議を唱える理由は、騒音ばかりではない。親類が石油産業に勤めるなどむしろ理解はある。彼女は英国の投資銀行で企業買収などの業務を経験して米国に戻り、公共資産管理のアドバイザーを務めていた09年、商工会議所でガス開発会社の経営説明に疑問を感じた。
「将来の生産を楽観しすぎており、負債が大きすぎないか。住宅の値上がりを期待し借金を重ね失敗したリーマン・ショックから学んでいない。バブルだ」