米テキサス州フォートワース市内にあるシェールガスの井戸。幹線道路沿いに、こうした井戸が多数ある【拡大】
税収や雇用が改善
「公共部門がシェールの恩恵を一番受けているんだよ」と、案内してくれた同社担当者は指摘する。税収の増加や雇用環境改善など、シェールは厳しかった公共部門の財政を支える。
さまざまな主体が革命の恩恵を受けようと、シェールに群がる構図は、ガス価格が下落しても変わらない。それどころか、ますます期待は膨らんでいる。
日本は恩恵をどう取り込むのか。例えば、イタリアの政府系エネルギー大手はクイックシルバーに技師ら約10人を常駐させていた。アフリカでのシェール開発などがその視野にある。
日本の電力・ガス会社から案件紹介をよく受けるというある日系商社マンは「簡単に安いガスが調達できると思う幻想こそがバブル。独自の技術や情報を武器に現地で汗をかかなければ、米国は報いてくれない」と指摘する。資金を供給し、権益を得るという従来のやり方だけでは、バブルに踊らさせることになりかねない。
シェールガス革命でエネルギー大国に変貌する可能性が出てきた米国。エネルギー勢力図は本当に塗り替わるのか。現地で最新動向を取材した。(吉村英輝)