上場企業の株式分割の動きが活発化している。企業の狙いは、株主になるのに最低限必要な投資金額(最低投資金額)を引き下げ、個人投資家を呼び込むこと。今年に入って最低投資金額を引き下げた東証1部上場企業は前年比約2.9倍に達した。来年1月から始まる少額投資非課税制度(NISA)も、企業の取り組みを後押ししている。
マネックス証券によると、今年1月以降、株式分割によって株式購入できる最低投資金額を引き下げた東証1部上場企業は49社で、昨年の17社を大きく上回った。
企業にとっては、株式分割で小口の株主が増え、株主総会での資料作成費や会場を確保する経費がかかるなどのデメリットもある。
だが、市場に出回る株式の流通量が増え、分割後の最低投資金額も下がれば、個人投資家が購入しやすい環境になる。買い注文が集まり、株価が上昇することも期待できる。また、1株当たりの配当金が株式分割前と変わらない場合、配当金が増えるメリットもある。市場では、株式分割を行う企業を「成長が見込まれる」とみるケースもある。