【税制改正大綱】「家計負担増で賃上げ課題」 日本総研チーフエコノミスト・山田久氏

2013.12.12 22:09

日本総研・山田久チーフエコノミスト

日本総研・山田久チーフエコノミスト【拡大】

 消費税率の引き上げを判断したことは、大いに評価すべきだ。しかし税制改正の内容をみると、中長期の税体系をどうするのかという視点は乏しく、対症療法的に改正項目を組み込んだという印象を受ける。安倍晋三政権が掲げる法人実効税率の引き下げについても、今回の大綱では明確に打ち出せていない。地方と都市の税収格差を減らすことの結果や意図は理解するが、本格的な議論はなかった。

 今回導入が決まった大企業の交際費の非課税措置など、法人を税制面で支援していくこと自体は重要だ。その一方で高額所得者の給与控除を減らすなど、消費税引き上げの負担を個人や家計に課した面もある。

 この家計負担が大きくなることに対し、いかにして賃上げに取り組んでいくのかが、最も大きな課題だ。安倍政権は、個人消費の拡大によって企業業績が回復し、それが賃上げにつながるという経済の好循環を目指している。家計負担ばかりが大きくなり、賃上げが進まなければ、政権の狙いとの整合性がとれない。

 確かに政労使協議で、復興特別法人税の前倒し廃止を踏まえ、経団連が春闘での賃上げ努力を明記した。だが、本当に賃上げにつながるかには疑問もある。持続的な賃上げが進むかを、政労使で点検する必要がある。(談)

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