形勢が逆転
WTOは中国の約束違反を突いたが、実はWTOで審議が行われているうちに、中国にとって最大の輸出先だった日本が海外調達先の多様化やリサイクル技術開発などで対中依存度を大幅に減らし、形勢が逆転した。
「輸出はボロボロ。お手上げだ」。中国のレアアースを扱う貿易会社の台湾人経営者(46)は嘆いた。中国政府が定めた今年の輸出枠は3万1001トンだが、実際の輸出量は半分以下の1万5000トンにも届きそうにない。輸出量が輸出枠を割り込むのは3年連続となる。
しかも、1トン当たりの平均価格が前年比60%以上も下落。内モンゴル自治区では7月、最大手の包鋼稀土高科技がレアアース鉱石選別場の操業停止に追い込まれるなど、中国レアアース業界は崖っぷち。