WTOや日米欧を非難するネット上のコメントは、数年前まで市場を支配した「レアアース王国」崩壊の危機へのいらだちとも読める。
だが、中国は起死回生の戦略を練っている。「お手上げ」と話した台湾人経営者は2月、レアアース産地である江西省のある街の役所で、日本人のビジネスマン数人とすれ違った。「確か日本で会ったことがある」
この町で日本人を見るのは珍しい。経営者は地元政府の幹部を酒席に誘い、内部情報を聞き出した。
「日本の自動車部品や電子部品の大手企業に、産地でのレアアース加工合弁事業を誘致している」。この時点で既に数社が積極的になっていたという。役所で見かけた日本人は以前、レアアースを納入した自動車部品大手の担当者だった。