こうした作戦は江西省に限らない。別のレアアース産地である内モンゴル自治区や広東省でも、地元政府が日本の電子部品大手に、市場参入への便宜や税制面などの優遇と引き換えに、工場進出を働きかけている。
巨大な成長市場への切符をチラつかされれば、経営者の心は揺れる。門外不出だったはずの貴重なレアアース加工技術をあっさり中国に持ち出すことに、台湾人経営者は驚きを隠さなかった。
中国の“ささやき”に高度な技術をもつ日本企業が続々と応じるようになれば、中国からみてレアアース輸出が不調でも、国内で加工から製品化、販売まで完結できる上、レアアース国際価格の下落に歯止めがかけられる。WTOの勧告も中国国内の取引には及ばない。