円安に伴う原材料コスト上昇を中小企業がまともに受け、販売価格に十分転嫁できない。輸出比率が高い大企業の場合は為替差益の恩恵もあるので利益は急上昇するが、内需依存の中小企業は負担増だけが残るのだ。
それを端的に示すのが企業の「交易条件」。交易条件とは販売価格と仕入れ価格の差のことで、日銀のDI(Diffusion Index=業況判断指数)では、価格が上がっている企業の割合から下がっている企業の割合を差し引いたものを表す。
販売価格DIから仕入れ価格DIを、さらに差し引いたのが(画像)下のグラフだ。15年デフレの間、交易条件は悪化しっぱなしでマイナスが続いてきたが、短期的には円高局面で改善し、円安局面で悪化してきた。
ところが、安倍政権発足以降、円安が急速に進むのと並行して中小企業の交易条件は急激に悪化したままなのに、大企業は4月以降改善している。