「この局面で政府が、民間が貯蓄したカネを借りて使わないと、経済全体がおかしくなってしまう」。クー氏は日本が陥ったデフレ不況の原因を「資金の借り手が大幅に不足しているため」と分析し、根底には「借金に対するトラウマ」があると語る。
バブル崩壊後、借金が残ったまま資産価値が下がった日本企業は途方もない金額の借金返済に追われた。バブル時に企業が調子に乗って借りてしまったためだ。一度こういう経験をすると、企業経営者は借入金を膨らませぬよう堅く誓うことになる。
実は、これには「1929年、世界大恐慌後の米国という先例がある」とクー氏。恐慌突入後、皆が借入金の返済に回った結果、借りる人がいなくなり、経済がさらに縮小する悪循環に陥った。そして「大恐慌を生きた米国人は二度と借金をしなくなった」。「『無借金の健全経営』『キャッシュフロー重視』は個々の企業行動としては理解できる。しかし全員が同じ方向に走ると、ゼロ金利でもGDPの8%も貯金するような事態になる」
そこで、アベノミクス政策が威力を発揮するわけだ。設備投資優遇策や一括償却で、資金を借りることにトラウマを抱える企業に投資を促す。その結果、「ここまで政府が支援してくれるのなら、お金を借りてみよう」と企業が思い直せば、借り入れに対する根強い抵抗感という大問題が解決することになる。