レーガン政権が誕生した1980年代前半、米国は長引く不況に苦しんでいた。大学院生だったクー氏も自由主義的な経済運営を唱えるレーガン氏に投票した一人だそうだが、米国経済復活という成果が出るまでに15年かかった。ニューヨークやロンドンには、安倍内閣の成長戦略を待ち切れず、「あと2カ月以内に具体策が出ないと、日本株を売る」と息巻く投資家は少なくないらしい。そこでクー氏が「具体策が出れば、その後15年、日本株を持ち続けてくれるのか?」と尋ねると、相手は黙ってしまうという。
最後に日本経済の進むべき道を尋ねると、クー氏はある国を引き合いに出し、「お金が集まってくるモデルがある」と述べた。「国土は狭いが、きれいな空気と水がある。人々は礼儀正しく、きわめて安全な国。こうした観点から、日本とよく似ている」--。
スイスだ。ただ、クー氏の目には、「両国の税制が経済の違いにつながっている」と映っている。「物価が高くてもスイス経済がうまく回るのは、お金持ちがいっぱいいて、お金をいっぱい使うから」。しかし、日本はお金持ちに不利な国で、富裕層の優遇策を検討するというだけで厳しい批判が殺到し、すぐにつぶされてしまう。一方、若くて意欲的なアジアの人々の追い上げは激しく、「このままでは日本のお金が外へ出ていくばかり」。 富裕層に冷たい日本の税制を変えるだけで、日本経済は大きく変貌すると予想する。「アジアでは今、富裕層が厚みを増している。彼らを『お金を日本に持ってこよう』『日本に置いておこう』という気にさせられれば、日本経済は大きく伸びる可能性がある」。
実を結ぶ構造改革を目指すには、日本でお金が使われるよう、まず税制から改革していく必要があるということだ。(ネットマネー)