アルゼンチンのデフォルト(債務不履行)問題に乗じ、中国が活発な支援外交を展開している。国際市場から事実上締め出されたアルゼンチンに対し、ダム建設などで巨額融資を表明。中国主導で設立する開発銀行を通じた援助への憶測も浮上する。背景には、米国と中南米の間にくさびを打ち、影響力を強めるしたたかな戦略がありそうだ。
干天の慈雨
アルゼンチンの債務返済問題をめぐる米ヘッジファンドとの交渉が暗礁に乗り上げ、デフォルトが秒読み段階となっていた7月18日。ブエノスアイレスの政府施設で、アルゼンチンのフェルナンデス大統領と笑顔で握手する中国の習近平国家主席の姿があった。
中南米歴訪でアルゼンチンに立ち寄った習主席は、総額75億ドルを融資すると表明し、フェルナンデス大統領との協定に調印した。南部パタゴニアでの水力発電用ダムの建設費用のほか、長期にわたって遅延している鉄道設備の購入資金を融通する。
両国は3年間で総額110億ドル規模の通貨スワップ協定にも調印した。これにより、アルゼンチンは輸入品の代金を人民元で支払うことができる。