ヨーロッパの何処の国でも、この5年から10年の間に酒市場が急激に拡大している。量だけでなく高価格帯の酒も増加している。同時に次の一手が試行錯誤の状況であるとの認識も共通している。
酒のカテゴリーは分かりにくいし、それぞれの酒の性格を表現する言葉がワインのようには整理されていない。スピリッツとの誤解や熱燗で飲むものとの先入観もある。
しかも、日本文化に興味のある人達を安易に狙ってプロモーションをするステージは終わり、次の段階に移行している。この10年ほど酒の販売を手掛けてきたヨーロッパの人は、もともと日本文化に対しての好奇心や愛着が強かった。それである範囲のお客さんを得てきたことも確かである。しかし、それだけでは大きな市場にはなりえないことに気づいたのだ。
そこで、酒に対する知識や味わい方の教育をどうやっていくか。これが大きな課題だ。プロモーションするための最低限のツールを整えないといけないとの認識をはじめている、といってよい。
東京からきたアメリカ人の食ジャーナリスト、メリンダ・ジョー氏は「トップシェフたちとも話したが、酒に興味があってもどう使っていいものか確信をもててない」と話す。新しいタイプのオープンマインドなシェフたちが突進して道を切り拓いていくのだろう。
実際、一方で自ら酒を造る人も出てきた。ノルウェーのシェティル・ギチウン氏の「裸島」という銘柄がそれだ。旅客機のパイロットとして頻繁に日本を訪れるうちに酒にはまり、ヨーロッパで最初の酒蔵をはじめた。