27日閉幕した環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉の閣僚会合は、またもや合意のめどをつけられなかった。交渉は終盤に近づくほど各国が簡単には譲れない課題が話し合われ、難易度はむしろ上がっていく。交渉が越年して長期化すれば、日本が進める他の経済連携交渉にも悪影響がおよび、安倍晋三政権の通商戦略は「暗黒時代に入る」(政府高官)と危ぶむ声も浮上している。
「これからガチンコの勝負となる」。甘利明TPP担当相は閉幕後、記者団に対し、今後の日米協議についてこう表現した。焦点となっている日本の重要農産品の関税や自動車分野などで論点は絞り込まれてきたものの、「残されている問題は本当に国益、政権としての生命線にかかわる話になる」(甘利氏)からだ。
交渉参加12カ国の経済規模の8割を占める日米協議の決着は交渉全体の合意の大前提だ。ただ、米国は11月4日の中間選挙を控え、日本に譲歩しにくい事情がある。甘利氏は「(選挙後は)政治的な安定が図られ、現実的な議論がしやすい環境ができるかもしれない」と期待を寄せるが、決着にこぎ着けられる保証はない。
さらに、米国と新興国が対立する知的財産などルール分野は日米などの関税協議よりも「遅れている」(甘利氏)のが実情で、事態は深刻だ。
これまで新興国は日米協議の様子見を決め込み、妥協案を出し渋ってきた。このため、甘利氏は今会合で日米協議の進展を訴え、新興国に交渉の加速を求めたが、閉幕後の会見でも新興国からは「日米の最終結果を待っている側面もある」(チリ)と消極的な発言が飛び出した。