講演する日銀の黒田東彦総裁=5日午前、東京都内のホテル【拡大】
「物価安定目標を実現するために必要になれば、躊躇(ちゅうちょ)なく調整を行う方針は従来と何ら変わりはない」
足元の日本経済について、黒田総裁は「緩やかな回復を続けている」と強調した。昨年4月に大規模な金融緩和策を導入して以降、日本経済はデフレ脱却に向けた道筋を順調にたどっているとの考えだ。ただ、世界経済の先行きが弱含んでいることに加え、原油価格の大幅下落が日本経済に影響を与える可能性も指摘。今後、日本経済が下ぶれするリスクが出てきた場合は、さらなる追加緩和も辞さない構えだ。
「われわれは『物価が上がりさえすればよい』と思っているわけではない」
今回の決定会合で、日銀は「2015年度を中心とする期間に、2%程度の物価上昇率を安定的に達する可能性が高い」との強気の物価見通しを維持した一方、14年度の経済成長率見通しを7月時点の1.0%から0.5%に引き下げた。