政府は19日、6月に約3年2カ月ぶりに開催予定の日中財務対話で、中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)への参加・不参加の意思表明は見送る方針を固めた。AIIBの不透明な融資審査基準や組織運営のあり方などを直接確認し、参加の是非を判断する場と位置づけていたが、中国側から明確な回答が見込めず、より慎重な対応が必要と判断した。
経済・財政の課題や今後の協力関係を議論する財務対話は6月6日に北京で再開する方向で、財務相をトップに両国の局長級幹部が意見交換する。今回は、中国がAIIBの設立協定の署名を6月末に予定しているため、日本のAIIB参加の是非が最大の焦点になっていた。
政府はAIIBに関し、インフラ整備の際の環境・人権への配慮や公平なガバナンス(統治)の確保などを求めてきたが、中国側からの回答は「現在に至るまで全く明確になっていない」(政府高官)という。