しかし、成長の鈍化傾向が強まる国内の経済実態に加え、今年までの5カ年計画の時代に引き起こしたバブル経済の副作用ともいえる不良債権問題などの処理はこれからで、バラ色の所得倍増計画だけを描くまでのパワーはなさそうだ。
10年に日本を追い抜いて世界第2位の経済大国にのし上がった中国は、その肥大した規模ゆえ高度成長は難しくなった。11年には前年比で9・3%だった物価変動を除く実質GDP成長率は、昨年は政府系シンクタンクの予測を下回る同7・4%まで減速した。第12次5カ年計画の最終年である今年の政府目標は同7・0%と実に25年ぶりの低い伸びにとどまる。
実際のところ、今年通年のGDP成長率は国際通貨基金(IMF)の見通しで同6・8%。それが証拠に5月まで3カ月連続して単月の輸出入総額がマイナスに落ち込んだ。国内の新車販売台数も4、5月と2カ月連続の微減で、輸出も消費も停滞している。投資も14年の海外直接投資(FDI)で、頼みの日本からが38%も減少した。GDPを構成する輸出、消費、投資の3要素とも低迷しているのが中国経済の実態だ。